ヴェネツィア国際映画祭(2022)
アウト・オブ・コンペティション部門出品作品

TRAILER

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ABOUT THIS MOVIE

この映画について

デンマークのドキュメンタリー映画監督ヨルゲン・レスとアンドレアス・コーフォードによる『ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン —ジャズが生まれる瞬間—』は、ヤコブ・ブロ、ビル・フリゼール、リー・コニッツ、ポール・モチアン、高田みどりなど、現代ジャズを代表する世界的に有名なジャズ・ミュージシャンたちの人生とそのプロセスを探求するドキュメンタリー映画。

北米、ヨーロッパ、日本を通して、撮影クルーはデンマークの作曲家ヤコブ・ブロを過去14年間追い続け、世代や国境を超えた彼らの音楽的交流を目撃してきた。

“ただひたすらテープを回す”という伝統的なジャズの手法で撮影された今作では、現代ジャズを代表する音楽家たちの親密で即興的な瞬間を捉えており、彼らの個性的で豊かなスタイルはもちろん、セッションの中で生まれる独特のエネルギーや仲間意識にも焦点を当てている。

予測不可能なライブ・ジャムの合間には、参加者たち自身が演奏することの感覚や音楽の意味について語ったポートレートが挟まれ、ジャズ・ミュージシャンとして生きる彼らの人生とそのプロセスに迫っている。

リー・コニッツやポール・モチアンなど、撮影中に惜しくもこの世を去ったミュージシャンたちの最後の演奏を記録しており、先駆的なミュージシャンであった彼らへの心からの敬意を表した作品となった。彼らの多彩で親密なプロセスは、後世へと受け継がれるレガシーとなっていく。

この映画の登場人物は一人ひとりカメラに向かって自己紹介をするのです。多くの人は「ミュージシャン」と答えますが、高田みどりは「自由業」と言います。その言葉が全体をうまく表している気がします。皆強い志を持って、真剣に演奏に臨んでいるのは明らかですが、同時にリハーサルも練習もせず、その都度一緒になった仲間と共にその瞬間を表現をしているわけです。理想の生き方だと思います。

——ピーター・バラカン

この映画は、デンマーク出身のジャズ・ギタリスト、ヤコブ・ブロの、14年間に渡る音楽と旅のドキュメントであり、「ジャズとは、音楽とは何だろう?」という問いに答えるミュージシャンたちに寄り添り、その音と言葉を丁寧に美しく捉えていく。正解はなく、正しい道筋は自分で見出さないとならないが、それはとても魅力的で、一人ひとりを輝かせる。ミュージシャンであれ、リスナーであれ、この映画から鼓舞されるものは必ずあるはずだ。

——原 雅明

信じがたいことにjazz musicは、まだ<夜、バーや自宅で酒やタバコを嗜みながら聴く大人のBGM>と、合衆国民ですら思っている。これほど、イメージが20世紀中期でストップしているジャンルミュージックに類例はない。本作は、「これが現代ジャズのベストメンバー」とまでは思わないものの、「とっくにジャズって、こんな風ですよ」と思わせつつ、キチンと音楽美(即興演奏美)に引き込む、つまり啓蒙の側面が強く、ジャズクラス以外の人々にこそ広げるべきだろう。誠実さの塊のような、清潔で美しい作品。

——菊地 成孔

MUSICIANS

キャスト・ミュージシャン

ヤコブ・ブロ

デンマークのコペンハーゲン在住のギター奏者、作曲家。

『ニューヨーカー』誌では、「ヤコブ・ブロのギター・スタイルを指で表現しようとするのは、空気の本質を表現しようとするようなものだ」と評されている。

バンドリーダーとして17枚のアルバムをリリースし、そのうち6枚は国際的に高い評価を受けているECMレコードからリリースされている。トーマス・スタンコとポール・モチアンの最後のバンドのメンバーでもあり、その他自身のバンドなどで世界中をツアーしている。

12月には、作中にも登場するメンバーとの作品を収めた、ECMからは7枚目となる最新アルバムがリリース予定。

Taking Turns/Jakob Bro

リー・コニッツ

アメリカの作曲家、アルトサックス奏者。70年以上にわたる壮大なキャリアの中で、彼の独特でクリーンな音色と気取らないハーモニーは、プログレッシブ・モダン・ジャズに多大な影響を与えた。

マイルス・デイヴィスの 『Birth of the Cool』セッションへの参加、ピアニスト、レニー・トリスターノとの共演など、1940年代と1950年代のクール・ジャズ・ムーブメントにおいても重要な役割を果たした。

2020年4月15日、COVID-19の合併症により享年92歳で逝去。

ビル・フリゼール

アメリカのジャズ・ギタリスト、作曲家、編曲家。一聴して彼とわかる暖かみのある鈴のような音色を持ちながら、ジャズ史上最も多才なプレイヤーの一人として広く知られている。

自身のバンドでアヴァンギャルドなジャズを演奏する時も、アメリカーナやポップスの様々な側面を探求する時も、映画音楽を作曲する時も、彼の音色の明瞭さとエレガンスへのこだわりは輝きを放っている。グラミー賞には6度ノミネートされ、1度の受賞歴がある。

ポール・モチアン

アメリカのジャズ・ドラマー、パーカッショニスト、作曲家。

1950年代後半にビル・エヴァンスのピアノ・トリオでブレイクし、その後約10年間、ピアニスト、キース・ジャレットのバンドのレギュラーを務めた。

ビ・バップ、フュージョン、フリー・ジャズなど、どのジャンルにもとらわれることなく、多彩な作曲スタイルを確立。クリエイティブな音楽シーンに多大な影響を与えた。

2011年11月22日早朝、骨髄異形成症候群の合併症によりニューヨークにて80歳で逝去。

ジョー・ロヴァーノ

同世代で最も有名なサックス奏者の一人であるジョー・ロヴァーノは、そのしなやかでスウィングするスタイルに、伝統的なバップの影響とモーダルやフリーの要素を取り入れた、非常に表現力豊かなインプロヴァイザーである。

1990年代初頭から頭角を現し、ブルーノート・レコードから『Universal Language』(1993年)、『Celebrating Sinatra』(1996年)、『52nd Street Themes』(2000年)など、数々の名盤を発表し、高い評価を得る。

パレ・ミッケルボルグ

デンマークで最も影響力のある独創的なジャズ・ミュージシャンのひとり。

1960年代以来、個性的なトランペット・プレイ、野心的なオーケストレーション、作曲的なクロスオーバー・プロジェクトで音楽の常識に挑戦してきた。

リリカルでドラマティックな独自のスタイルを持つ。

マイルス・デイヴィスのために作曲し、一緒にレコーディングした有名な『Aura』などで広く知られている。

アンドリュー・シリル

1960年代に登場したフリー・ジャズ・パーカッショニストの中でも最も傑出した存在。

彼のような優雅さ、威厳、衰えることのないエネルギー、絶対的なパワーを持つ前衛ドラマーは、他に類を見ない。

代表作は、ソロ・デビュー作である1969年の『What About?』やミルフォード・グレイヴスとの1974年作『Dialogue of Drums』など。

ヨン・クリステンセン

ノルウェー出身のジャズ・ドラマー。

ECMレコードから数多くのアルバムを発表し、そのバックボーンとして活躍。北欧ジャズ界を代表するドラマーとして広く知られていた。

国際的なジャズ・フェスティバルで、デクスター・ゴードン、ゲイリー・バートン、ソニー・ロリンズ、テリエ・リピダル、スタン・ゲッツなど、数々のジャズ界の巨匠たちと共演し、世界的に活躍。

2020年2月18日、オスロの自宅にて、76歳で逝去。

マーク・ターナー

独創性豊かなサックス奏者マーク・ターナーは、その緻密でハーモニー豊かな現代的創造的ジャズ・アプローチで高い評価を得ている。

1998年の『In This World』や2001年の『Dharma Days』といったアルバムで早くから注目を集め、ブラッド・メルドー、カート・ローゼンウィンケル、ブライアン・ブレイドといった同世代のミュージシャンたちと共演した。

トーマス・モーガン

アメリカのジャズ・ベーシスト。

ソロ活動はほとんどなく、ヘッドライナーとしてアルバムをリリースしたこともない。

ジョン・アバークロンビー、トーマス・スタンコ、デヴィッド・ビニー、ポール・モチアン、菊地雅章など、そうそうたる顔ぶれと共演している。

高田 みどり

東京都出身の才能あるパーカッショニストであり作曲家。

そのアンビエントでミニマルな音楽は、東アジアやアフリカの伝統とジャズやプログレッシブ・クラシックのサウンドを融合させている。

ソロ・アルバム『鏡の向こう側/Through the Looking Glass』のリイシューをきっかけに世界的に再評価をされ、ヤコブ・ブロとも公演を共にした。

マンフレート・アイヒャー

ドイツのレコード・プロデューサー。

ベルリン音楽アカデミーで音楽を学ぶ。クラシック音楽のコントラバス奏者としてスタートし、後にプロデューサーとなる。

1969年、ECMレコード(Edition of Contemporary Music)をミュンヘンに設立。50年以上のキャリアの中で、アイヒャーは現在までに1000枚以上のアルバムをプロデュースしている。

CREW

プロデューサー・ディレクター

ヨルゲン・レス

デンマークの詩人、映画監督。

実験的ドキュメンタリー映画の第一人者。

代表作にドキュメンタリー『地獄の日曜日』(1977)、シュールな短編『完全なる人間』(1968)。長編ドキュメンタリー『The Five Obstructions』(ラース・フォン・トリアーとの共同監督)は2003年にヴェネチアでプレミア上映され、デンマークのアカデミー賞外国語映画賞候補となった。

アンドレアス・コーフォード

デンマーク、コペンハーゲン生まれ。

2009年デンマーク国立映画大学でドキュメンタリー監督を、2004年コペンハーゲン大学で社会学を専攻。

2001年より、『The Lost Leonardo』、『Ballroom Dancer』、『The Arms Drop』、『At Home In The World』など、人間存在の普遍的な物語に焦点を当てたドキュメンタリー映画を監督。彼の作品は、IDFA、CPH:DOX、Full Frame、AFI Docs、Sheffield Doc Fest、Tribecaなど世界中の映画祭で上映され、数々の賞を受賞している。

アダム・ニールセン

編集者のアダム・ニールセンは、デンマーク映画アカデミー賞に5度ノミネートされ、デンマーク映画賞では最優秀編集賞を2度受賞している。

トビアス・リンドホルム監督とのコラボレーションには、高い評価を得たHBOの『The Investigation』シリーズ、アカデミー賞®ノミネート作品『A War』、2022年東京国際映画祭でプレミア上映された『The Good Nurse』などがある。

また、オスカー・アイザック主演でアカデミー賞®にノミネートされた短編映画『The Letter Room』や、ニールセンがトライベッカ映画祭で編集賞を受賞した『Bobbi Jene』でも、デンマークの映画監督エルヴィラ・リンドとコラボレーションしている。

エミール・エルトリング・ペロナール

プロデューサーのエミール・エルトリング・ペロナールは、デンマークを拠点とするグリーンランド出身映画プロデューサーで、ヌークとコペンハーゲンの両方で制作会社Ánorâk Filmを運営している。映画を通じてヨーロッパと北極圏の架け橋となるべく、フィクションだけでなくドキュメンタリーにも力を入れている。

近年、グリーンランド初の制作サービス会社Polarama Greenlandを立ち上げ、グリーンランドの映画産業を発展させ、グリーンランド発の本格的なスクリーン・コンテンツへの道を開いた。ベルリン国際映画祭のアドバイザーを務め、ARTEF(ヨーロッパ映画のための反人種主義タスクフォース)の運営グループにも参加している。彼の作品はカンヌ、ヴェネツィア、ベルリン国際映画祭、サンダンスで上映され、『Aquarela』(2018)はアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門の最終候補にノミネートされた。

THEATER

劇場・上映スケジュール

北海道・東北


北海道札幌市

上映終了

青森県青森市

2025年3月29日(土)〜

宮城県仙台市

2025年4月18日(金)〜

関東


東京都渋谷区

上映終了

東京都豊島区

上映終了

東京都武蔵野市

2025年2月28日(金)~

神奈川県横浜市

2025年5月10日(土)〜

神奈川県川崎市

2025年5月13日(火)〜

神奈川県小田原市

2025年4月11日(金)〜

千葉県柏市

2025年4月12日(土)〜

神奈川県厚木市

2025年4月4日(金)〜

茨城県那珂市

2025年4月5日(土)〜

栃木県宇都宮市

上映終了

茨城県那珂市

2025年4月5日(土)〜

中部・北陸


愛知県名古屋市

上映終了

静岡県静岡市

2025年4月18日(金)〜

長野県長野市

2025年4月11日(金)〜

長野県上田市

2025年5月16日(金)〜

富山県富山市

2025年3月22日(土)〜

関西


大阪市北区

上映終了

大阪市城東区

2025年3月31日(月)〜

兵庫県神戸市

2025年4月12日(土)~

京都府京都市

上映終了

中国・四国


岡山県岡山市

2025年4月4日(金)~

広島県広島市

近日公開

山口県下関市

2025年4月19日(土)〜

九州・沖縄


福岡県福岡市

2025年4月4日(金)~

大分県別府市

近日公開

熊本県熊本市

近日公開

宮崎県宮崎市

2025年5月2日(金)~

沖縄県沖縄市

2025年3月21日(金)〜

沖縄県那覇市

近日公開

MERCHANDISE

公式グッズ

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